エネルギー基本計画を知っていますか?
- 2021.09.15
- コラム
エネルギー基本計画とは?
「エネ基」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
これはエネルギー基本計画を略したものです。
国をあげて進められている脱炭素政策ですが、エネルギー需給に関する国の中長期的政策の基本指針として、2002年制定のエネルギー政策基本法に基づいて、
- 安全性安定供給
- 経済効率性の向上
- 環境への適合
などの基本方針に則り、政府に策定が義務づけられているものです。2003年に初めて策定されました。
世界のエネルギー情勢、環境保護機運、国内世論などを鑑みつつ、3~4年ごとに改定され、今年内には新たに第6次案の閣議決定が計画されています。
どんな内容?
経済産業省は7月21日、エネルギー政策を議論する総合資源エネルギー調査会基本政策分科会を開催し、このエネ基の素案を発表しました。
2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の道筋を示すことを重要テーマとして、
業務・家庭部門では、2030年の新築平均ZEH・ZEB目標と、整合的な建築物省エネ法の規制措置強化、建材・機器トップランナー制度※の見直しなどに取り組む
ことを掲げています。
※トップランナー制度とは…製造業などに対象となる機器のエネルギー消費効率の努力義務を規定することで、二酸化炭素の排出量を抑え、省エネルギー化を図る制度のことです。
チェックポイント
まずカーボンニュートラル実現に向けた課題と対応のポイントとして
「温室効果ガスの8割を占めるエネルギー分野の取り組みが不可欠」
とし、電力部門では
「再エネや原子力などの実用段階にある脱炭素電源を活用し脱炭素化を進めるとともに、水素・アンモニア発電、カーボンリサイクルなどのイノベーションを追求する」
ことを挙げています。
再エネ普及に向けて実施する政策については
「改正温対法に基づく再エネ促進区域の設定(ポジティブゾーニング)による太陽光・陸上風力の導入拡大や、再エネ海域利用法に基づく洋上風力の案件形成加速などに取り組む」
としています。
この他、事業規律の強化として
「太陽光発電に特化した技術基準の着実な執行、小型電源の事故報告の強化等による安全対策強化、地域共生を円滑にするための条例策定の支援などに取り組む」
ことも記載されています。
技術開発の推進では
「建物の壁面、強度の弱い屋根にも設置可能な次世代太陽電池の研究開発・社会実装を加速、浮体式の要素技術開発を加速、超臨界地熱資源の活用に向けた大深度掘削技術の開発などに取り組む」
とも書かれていました。
さらに今回は、2030年の電源構成について、「野心的な見通し」として想定も発表しています。
再エネは最大38%まで比率を高める見込みで、安定供給に支障が出ることのないように施策の強度や実施のタイミングなどを設定し、見通しの達成を目指す計画となっています。
▼引用元:経済産業省
エネルギー基本計画(素案)の概要
まとめ
10月には閣議決定が予定されていますが、これら素案から見ると、まだまだ太陽光発電普及に向けた政策支援が強まりそうな内容となりそうです。