気候変動課題を議論するための国際会議「COP29」
- 2025.02.20
- コラム
気温上昇を阻止するべくCO2削減が世界中で叫ばれる昨今、その課題を解決すべく世界が議論し約束を果たすための会議「国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)」が、2024年11月11日~24日にかけてアゼルバイジャン共和国の首都バクーで開催されました。
このCOPとは「Conference of the Parties」の略で締約国会議と訳し、様々な国際会議で用いることができますが、日本では気候変動に関する会議を指します。1992年に採択され94年に発効した「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」を皮切りに気候変動問題に関する条約として、各国の気候変動問題を解決するため、現在では200近い国や地域が参加しています。
2020年以降の枠組みを定めた「パリ協定」が目的を達成するための具体的な枠組みとなっており、各国の首脳、閣僚や官僚、有識者などが集結し議論がなされました。
今回のCOP29では、日本からは浅尾環境大臣が参加しました。気候資金、緩和対策、パリ協定第6条についての閣僚級交渉のほか、米国大統領上級補佐官、中国気候変動問題担当特使等の各国閣僚やグテーレス国連事務総長と会議を実施しています。
国際協力が加速
今回の会議では、2つの画期的な合意がなされました。
① パリ協定第6条についての大きな進展
CO2の排出削減量を国際的に移転する市場メカニズムが規定されている箇所がパリ協定第6条で、世界の温室効果ガスの排出削減を効率的に進めるための強力なスキームの一つです。
今回のCOP29において、国際的に協力して削減・除去対策を実施するための詳細ルールが決定し、運用が開始されることになりました。
日本からは、クレジットの記録や報告を行う登録簿間の接続等について具体的な提案を行い、議論に貢献したということです。
② 気候資金に関する新規合同数値目標の制定
- 開発途上国に向けた資金拠出の目標を、従来の年間1,000億米ドルから、2035年までに年間3,000億米ドルへ3倍に増加させる。
- 開発途上国に向けた公的部門・民間部門からの資金拠出を、2035年までに年間1兆3,000億米ドルに拡大するために、すべての当事者が協力して取り組むことを確実にする。
この目標により、途上国が気候変動の影響に適応するための経済的な支援が拡大することが見込まれます。
ジャパン・パビリオンが注目を集める
一方、展示会場では、ジャパン・パビリオンにて日本企業11社が出展しました。再エネ、省エネ、廃棄物処理システムや衛星を用いた観測技術などを展示し、100カ国を超える国々の人が来場しました。以下、展示企業の一部です。
- 大成建設では、カネカと共同開発中ので次世代型として期待されるペロブスカイト太陽電池に加え、結晶シリコンと組み合わせた「タンデム型」をアピール(※開発中)。
- パナソニックホールディングスは、消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄う発電プラント「H2 KIBOU FIELD」(滋賀県草津市の燃料電池工場)の取り組みを紹介。純水素型燃料電力+太陽電力+リチウムイオン蓄電力を最適に組合せ、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄っている。
- AGCは太陽光パネルを含むガラスリサイクルと循環経済への取り組みを紹介。
世界が一つになり、持続可能な未来へ
世界各国、各社が積極的にCO2削減に挑戦する姿が会議を通じて伺えます。スケールは違えど、私たち一人一人が行える温暖化対策も無駄ではないはずです。身近な省エネ・創エネ活動に貢献すべく、新日本住設Groupも太陽光発電システムの普及に臨みたいと思います。
▼引用:
– 外務省 国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(結果)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/pagew_000001_01129.html
– 国際連合広報センター
COP29国連気候会議、いのちと暮らしを守るべく開発途上国向け資金を3倍に増やすことで合意
https://www.unic.or.jp/news_press/info/51323/